シェーグレン症候群と慢性炎症:食生活の見直しで体質改善を

慢性炎症を促進する食品 食事

シェーグレン症候群は、主に涙腺や唾液腺が障害される自己免疫疾患ですが、全身の慢性的な炎症が症状に影響を与えることが知られています。ここでは「慢性炎症を誘発しやすい」とされる食品群と、その理由、そして現実的な対策についてご紹介したいと思います。


慢性炎症を誘発しやすいとされる食品とその理由

以下の6つの食品は、体内で炎症を引き起こす物質の生成を促したり、腸内環境や血糖値に悪影響を及ぼしたりすることで、慢性炎症に影響を与える可能性が指摘されています。

食品群具体例慢性炎症に影響する理由
加工肉ハム、ベーコン、ソーセージなど飽和脂肪酸塩分が多く、また加工の際に使用される添加物(硝酸塩など)が、体内で炎症マーカー(CRPなど)の上昇や酸化ストレスを助長する可能性があります。
精製された炭水化物白米、白いパン、うどんなど食物繊維が取り除かれているため、消化・吸収が早く、血糖値を急激に上昇させます。これにより、インスリンの過剰分泌が起こり、炎症性サイトカイン(炎症を促進する物質)の活性化につながるとされます。
トランス脂肪酸ショートニング、マーガリン、一部の揚げ物、スナック菓子など細胞膜の構造を不安定にし、血管や組織の炎症を直接促進する作用があることが研究で示唆されています。また、心血管疾患や加齢に伴う炎症関連疾患のリスクとも関連しています。
グルテンパン、パスタ、うどんなど(小麦製品)セリアック病や非セリアック・グルテン過敏症を持つ人では、グルテンの構成成分(グリアジン)が腸の炎症を引き起こし、腸管壁のバリア機能の低下(リーキーガット)を招き、全身の炎症に影響を与える可能性があります。
砂糖とブドウ糖果糖液糖清涼飲料水、お菓子、菓子パン、一部の調味料など過剰摂取は血糖値の急激な上昇を引き起こし、慢性炎症を誘発します。また、体内でAGEs(終末糖化産物)を生成し、これが細胞を傷つけて老化や炎症の原因となるとされています。
オメガ6脂肪酸サラダ油(コーン油、大豆油など)、種子油オメガ6脂肪酸自体は必須脂肪酸ですが、オメガ3脂肪酸との摂取バランスが崩れると、オメガ6から作られる炎症性物質(プロスタグランジンE2など)が増加し、炎症を促進する方向に傾くと考えられています。現代の食生活ではオメガ6が過剰になりがちです。

全部やめなくても大丈夫!持続可能な工夫で乗り切ろう!

すべての食品を完全に排除するのは、ストレスになり、長続きしにくくなってしまいます。シェーグレン症候群の症状管理は長期戦ですから、持続可能な食生活の改善を目標にしましょう。

1. 摂取量を意識的に「減らす」工夫

  • 加工肉: 毎日の朝食でのベーコンやハムを、週に数回に減らす、または新鮮な魚や鶏むね肉などの未加工のタンパク質に置き換えましょう。鶏ハムなんかを作ってもいいかもしれません。
  • 砂糖とブドウ糖果糖液糖: ジュースや甘い飲み物を水や無糖のお茶に変える。お菓子を食べる回数や量を決めてみてはどうでしょうか?
  • 精製された炭水化物: 白米を玄米や雑穀米に、白いパンを全粒粉パンに、うどんをそば(十割など)に置き換えていく。パスタは全粒粉の茶色いパスタを使ってみてはどうでしょうか?

2. 体に良いもので「代替する」工夫

避けるものを代替する提案代替案とポイント
トランス脂肪酸/植物油(オメガ6過多)オメガ3脂肪酸を積極的に摂る(青魚亜麻仁油えごま油)。調理油には、オメガ6が少なく加熱に強いオリーブオイルごま油(適量)を選ぶ。
グルテン(小麦製品)パンやパスタの代わりに、米粉そば粉グルテンフリーの製品を選ぶ。
砂糖甘味が欲しい時は、メープルシロップはちみつを少量使う、または**果物(旬のもの)**から自然な甘さを摂る。

3. 抗炎症作用のある食品を取り入れる

慢性炎症を抑えるためには、炎症を誘発するものを減らすだけでなく、炎症を鎮める作用のある食品を増やすことが大切です。

  • オメガ3脂肪酸: サバ、イワシ、サンマなどの青魚(週2~3回を目安に)。
  • 抗酸化物質: 色の濃い野菜果物(特にベリー類)、緑茶など。
  • 腸内環境を整えるもの: 納豆、味噌、ヨーグルト(乳製品が合わない場合は豆乳ヨーグルトなど)、食物繊維が豊富な海藻類やキノコ類。

無理のない範囲で、まずは「これならできそう」という小さな改善から始めてみましょう。体調は個人差が大きいので、ご自身の体に耳を傾けながら、心地よく続けられる食生活を見つけてくださいね。