シェーグレン症候群やそれに伴う病気と向き合う中で、「自分の人生」や「将来」について真剣に考える機会が増えたという方は少なくないのではないでしょうか。私自身も、エリテマトーデスを疑われたり、間質性肺炎を経験したりしてから、自分の余命について真剣に考えるようになりました。
そうした中でふと気づいたのが、もしもの時、家族に自分の持ち物を片付けてもらうことへの負担です。大切な家族に、自分の代わりに不要なものを処分させるのは心苦しい。そう思うと、自分で身辺整理をしておくことが、家族への最後のやさしさになるのではないか、と思うようになりました。
特に間質性肺炎は症状の悪化が始まると一気に3ヶ月ほどで死にいたる病です。日頃のうちから準備しておかないと、「家を片付けないと」と思う時には間に合わないな、と感じました。
それが、本格的な断捨離を始めるきっかけでした。
執着を手放すことから始める
これまでも定期的に断捨離はしていましたが、どこか「もったいない」という気持ちが捨てきれず、ゆるやかにしか進んでいませんでした。そこで今回は、「やましたひでこ」さんのYouTube動画などを参考にしながら、自分がいちばん執着しているものから手をつけてみることにしました。
私にとっての執着は、ずばり「本」でした。
学生時代に「一生懸命勉強した証」として手元に置いていた本。社会人になってからも「いつか読むかも」と手をつけずに積みっぱなしになっている本。3年に1回は処分していましたが、それでも400冊近くが本棚にぎっしりと並んでいました。
思い切ってこれらの本をまとめて7割ほど古本屋に送りました。頑張って勉強したことは私の脳に残っているはずですし、読んでいない本は本の使命を果たすために第三者に譲る。自分の間違ったインテリジェンスに対する執着が消えていくのを感じてスッキリしました。また、段ボールに詰めきれなかった分もあったのですが、メルカリで少しずつ売ることにしました。
ひとつずつ、無理のないペースで
本以外にも、見直してみると「なぜこれを買ったんだろう?」と思うものがたくさんありました。
たとえば、同じ用途のものがいくつもあったり、便利そうだと衝動買いしたけれど結局使っていなかったりするアイテムたち。これらもまとめて段ボールに詰め、リサイクルショップに持ち込みました。
洋服も、もう2年以上着ていないものは思い切って手放すことに。妹が欲しがるものは譲り、それ以外はリサイクルショップへ。古い写真も、データがあれば十分だと割り切り、思い出として心に残すものだけを残して処分しました。
もちろん、すべてを一気に片付けるのは大変です。今でも、まだ手放せていないものもあります。掃除用スプレーなど(実はいくつもあるんです!)は「もったいないから」と使い切ろうと頑張っていますが、なかなか減らないのが現実です。ここには私の執着がまだ残っています。
断捨離は「自分を大切にする時間」
こうして身の回りを整理していくうちに、自分が本当に必要なものに囲まれていなかったことに気づかされます。
そして、部屋が片付いていくにつれて、不思議と心もスッキリとしていくのを感じます。
断捨離は、ただ物を捨てることではありません。自分にとって本当に大切なものは何か、これからどう生きていきたいのかを考える、自分を大切にする時間なのだと思います。
シェーグレン症候群の症状がひどかった時は断捨離どころではありませんでした。そこから考えると、症状が悪化した時は処分もできなくなってしまうでしょう。
将来の家族の負担を減らすためにも、また、「いつか」ではなく、「今」を快適に過ごすために、今、少し体に余裕がある方は、できるところから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。身の回りが整うと、きっと気分も明るくなると思います。
