シェーグレン症候群というと、ドライアイやドライマウスが代表的な症状ですが、多くの患者さんが「どれだけ寝ても回復しない疲労感」に悩まされています。
私自身も症状がひどい時期には5分も歩くことができないような状態の時がありました。また、1時間Web会議で座っていることもかなり苦痛で、終わった瞬間にベッドに横になる、という状態を繰り返していた時期もありました。
朝から体が重い、少し動いただけでぐったりする、集中力が続かない。この疲労感は単なる「だるさ」ではなく、日常生活に大きな支障をきたします。
今日は、このつらい疲労感に、私たちがどう向き合っていくか、具体的なヒントを3つの視点からお伝えしたいと思います。
1. 食事の工夫:体の中からエネルギーを補給する
疲れやすい時は、食欲が落ちたり、手軽なもので済ませがちですが、疲労回復に効果的な食材を意識して取り入れることが大切です。
- ビタミンB群:エネルギー代謝を助ける働きがあります。豚肉、レバー、魚、大豆製品、ナッツ類などを積極的に摂りましょう。
- 鉄分:貧血も疲労の原因になります。赤身肉、ほうれん草、ひじき、アサリなどを意識して食べましょう。
- 抗炎症作用のある食材:シェーグレン症候群は慢性的な炎症が原因の一つと考えられています。炎症を抑える働きが期待できるオメガ3脂肪酸(サバ、アジ、サンマなどの青魚、亜麻仁油など)や、ポリフェノールを多く含む緑黄色野菜を摂るのもおすすめです。
食事は、病気の症状だけでなく、疲労感とも深く関わっています。日々の食事を少し見直すだけで、体の中から変化を感じられるかもしれません。
2. 軽い運動:無理のない範囲で体を動かす
疲れているときに「運動なんてとんでもない!」と思うかもしれません。しかし、無理のない範囲で体を動かすことは、かえって疲労感を軽減し、質の良い睡眠を促すことにつながります。
- ストレッチ:ベッドやソファの上でできる簡単なストレッチから始めましょう。凝り固まった筋肉をゆっくりと伸ばすことで、血行がよくなり、体の重さが少し楽になります。
- ヨガやピラティス:深い呼吸を意識しながらゆっくりと体を動かすことで、自律神経を整え、リラックス効果も期待できます。
ホットヨガはエリテマトーデスを併発している方は、症状を悪化させますので控えていただければと思います。 - ウォーキング:天気の良い日に、近所をゆっくりと散歩するだけでもOKです。無理のない範囲で、まずは5分から始めてみましょう。
運動のポイントは、「疲れない程度にやる」ことです。疲労を悪化させないよう、自分の体と相談しながら、少しずつ取り組んでみてください。
3. 休息の取り方:自分だけの「休憩タイム」を確保する
「休息=眠ること」だけではありません。質の良い休息を意識的に取ることが、疲労回復には不可欠です。
- パワーナップ(短い昼寝):午後の眠気やだるさを感じたら、15〜20分ほどの短い昼寝を取り入れましょう。これにより、脳の疲労が回復し、午後のパフォーマンスが上がります。
- こまめな休憩:仕事や家事の合間に、意識的に短い休憩を挟みましょう。座りっぱなしなら立ち上がって伸びをする、目を閉じて深呼吸をするなど、気分転換になることを取り入れます。
- 「何もしない時間」を作る:スマホやテレビから離れ、ぼーっとしたり、好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりする時間を作りましょう。心と体をリセットする大切な時間になります。
シェーグレン症候群の疲労感は、決して怠けているわけではありません。病気が原因で起こる、誰もが抱える悩みです。
「今日はこれだけできた」と自分を労いながら、少しでも楽になる方法を一緒に探していきましょう。
