年間を通じて実践したい基本的なケア
1. 乾燥対策の徹底
- 保湿を心がける: 目薬(人工涙液)、口腔保湿剤、保湿リップクリーム、ボディクリームなどを常に携帯し、こまめに使用しましょう。
- 加湿器の活用: 特に乾燥しやすい室内では、加湿器を使って適切な湿度(50〜60%)を保つことが重要です。寝室には必ず置くようにしましょう。
- 水分補給: こまめな水分補給は、口の乾燥対策だけでなく、全身の潤いを保つためにも不可欠です。水やお茶を少しずつ頻繁に摂取しましょう。カフェインやアルコールの過剰摂取は乾燥を悪化させる可能性があるので注意が必要です。私のおすすめのお茶はこちらのサイトに書いていますので、参考になれば幸いです。
2. 目と口の健康維持
- 眼科・歯科の定期受診: 定期的に眼科で目の状態をチェックし、適切な目薬を処方してもらいましょう。歯科では、口の乾燥による虫歯や歯周病のリスクが高まるため、フッ素塗布や丁寧な歯磨き指導など、予防的なケアを受けることが大切です。
- 口腔ケア: 食後はもちろん、間食後もすぐに歯磨きをする習慣をつけましょう。フロスや歯間ブラシも活用し、清潔な状態を保つことが感染予防につながります。
- 刺激物の回避: 目や口に刺激を与える可能性のある、乾燥した空気、煙、辛い食べ物、酸っぱい飲み物などはできるだけ避けましょう。
3. 関節痛のケア
シェーグレン症候群では、関節痛を伴うことも少なくありません。痛みを和らげ、日常生活を快適に送るためのケアを取り入れましょう。
- 適度な運動とストレッチ: 痛みのない範囲で、関節を動かすストレッチや軽い運動を取り入れることで、関節の柔軟性を保ち、こわばりを軽減できます。ウォーキングや水中運動など、関節に負担の少ないものがおすすめです。無理は禁物です。
- 体を温める: 温かいお風呂にゆっくり浸かったり、温湿布やホットパックを使ったりして、痛む関節を温めることで痛みが和らぐことがあります。血行促進にもつながります。
- 炎症を抑える食事: オメガ3脂肪酸を多く含む魚(サバ、イワシなど)や、抗酸化作用のある野菜や果物を積極的に摂るなど、炎症を抑える効果が期待できる食事を意識するのも良いでしょう。
- 適切な休息: 関節に痛みがある時は、無理せず休息を取ることも大切です。痛みが強い時は、無理に関節を動かさず、安静にしましょう。
- 痛みの管理: 痛みが続く場合は、我慢せずに主治医に相談しましょう。必要に応じて、消炎鎮痛剤の処方や、リハビリテーションの指導などを受けることも検討してください。
4. 全身の健康管理
- バランスの取れた食事: 栄養バランスの取れた食事を心がけ、全身の健康維持に努めましょう。
- 十分な睡眠: 質の良い睡眠は、免疫機能の維持や疲労回復に不可欠です。規則正しい生活リズムを心がけましょう。
- ストレス管理: ストレスは症状を悪化させる要因の一つです。趣味やリラクゼーション、瞑想など、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
- 紫外線対策: 紫外線は皮膚や目に負担をかけることがあります。外出時は日焼け止めや帽子、サングラスなどで対策しましょう。
季節ごとのケア
春:花粉と新たな始まりのケア
- 花粉対策の徹底: シェーグレン症候群の人は、目や鼻の粘膜が敏感なため、花粉症の症状が重く出やすいことがあります。花粉飛散時期は、花粉用メガネやマスクを着用し、外出後のうがい・手洗い、目の洗浄を徹底しましょう。
- 加湿の継続: 春先も空気が乾燥しやすいので、加湿器の使用は継続しましょう。
- 体調の変化に注意: 新生活が始まる時期は、環境の変化によるストレスで症状が悪化することもあります。無理をせず、自分のペースを大切にしましょう。
夏:紫外線と暑さ対策のケア
- 徹底した紫外線対策: 目や皮膚への負担を軽減するため、日中の外出時は必ずサングラス、つばの広い帽子、日焼け止めを使用しましょう。日差しが強い時間は、できるだけ外出を控えることも検討してください。
- 脱水症状に注意: 汗をかくことで水分が失われやすくなります。こまめな水分補給を心がけ、脱水症状を防ぎましょう。
- 冷房による乾燥対策: エアコンの冷風は乾燥を招きます。直接風が当たらないように工夫したり、適度な室温設定を心がけ、加湿器を併用することも有効です。関節が冷えやすい方は、薄着になりすぎず、ひざ掛けなどで冷え対策をしましょう。
- 冷たい飲み物の摂りすぎに注意: 冷たい飲み物ばかりだと胃腸に負担がかかることがあります。常温の水なども取り入れましょう。
秋:乾燥と体調管理のケア
- 乾燥対策の強化: 秋になると空気が乾燥し始めるため、年間を通じての乾燥対策をより一層強化しましょう。特に、目や口の乾燥症状が悪化しやすい時期です。
- 風邪予防: 空気が乾燥すると風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。手洗いうがいを徹底し、人混みを避けるなどの対策をしましょう。
- 温度変化への対応: 朝晩の冷え込みに注意し、カーディガンやストールなどで体温調節を心がけましょう。関節の冷えは痛みを悪化させることがあるため、特に注意が必要です。
冬:徹底した保湿と感染症予防のケア
- 最も重要な乾燥対策: 冬は一年で最も乾燥が厳しい季節です。加湿器は必須と考え、寝ている間も必ず使用しましょう。保湿剤もこまめに塗り、肌の乾燥も防ぎましょう。
- 感染症予防の徹底: 免疫力が低下しやすい時期なので、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、各種感染症の予防接種を検討し、手洗い、うがい、マスク着用を徹底しましょう。人混みはできるだけ避けるのが賢明です。
- 温かい飲み物・食べ物: 体を温める温かい飲み物や食べ物を積極的に摂り、冷えからくる体調不良を防ぎましょう。体が冷えると関節痛が悪化しやすいため、使い捨てカイロなどを活用して、痛む関節周辺を温めるのも効果的です。
シェーグレン症候群との付き合い方は、一人ひとり異なります。ご自身の症状や体質に合わせて、これらのケア方法を参考に、日々の生活に取り入れてみてください。そして、何か不安なことや気になることがあれば、遠慮なく主治医や専門医に相談しましょう。